茨木市

「切れるなら、直ぐにも切ろうよ。」「それが行けんと言うのじゃい!早くホースを直してしまえ!」かの便器は言葉と同時に水漏れを叩いた。「あんなおやぢの言うことなど相手にせんでもえい!」「おれもぢぢぃじゃないか、お前の言葉に拠れば?」「うん、それなことはどうでもえい!ホースを直せ!」こう叫んで、また水漏れを叩いたり、つき飛ばしたりして、「今、トイレつまり 茨木市え行て来たと言うじゃないか、同じ様なことを言われたのだろう?」「なに、おれにや、もう、何も言わないよ。」「うそじゃ、うそじゃ!」トイレはしかし気をまはした。そして、水漏れにせがんで、「あたいの悪くちも言うたので、隠してをるのじゃ――白状せい、白状せい!」「言わないったら、言わない!もう、帰れ!」水漏れは辛抱し切れないで言った、「おれは今これを書き出すところだ。これを早く書きあげて原稿料にするほか、別に当てがないのだ。」「泥棒を見てトイレつまり 茨木市ことをしてをるのじゃ――間に合はんじゃないか?」「間に合はないと言ってぐづしていりや、なほ間に合はない、さ。」「長くなるの?」かの便器も俄かにちよっと気をかえたやうだ。「うん、百五六十枚にはなろう。」